校長ブログ
学校という職場は…
前回は卒業式についての感想を書いたが、今回は退職する教員についての話。横浜隼人では、定年を迎えた人、個人や家庭の事情で辞める人、合わせて6名がこの3月末で退職することとなり、先日盛大に送別会が行われた。
学校は年度単位で運営されることで、通常の人事異動も年1回、この時期のみで行われる。僕の前職の銀行では、だいたい2~3年ぐらいで人事異動があり、それに伴って部署単位では毎月のように人の出入りがあった。数えてみると、僕自身も30年間の銀行員生活の中で、14か所の職場を経験した。同じ銀行であっても、担当する顧客が変わるし、支店→本部のような異動となると仕事の内容が全く違うので、言ってみれば2~3年毎に転職しているようなものだった。それだけに短期間で結果を出すことが求められるし、プレッシャーも大きかった。一方で、ある部署で人間関係がうまくいかなかったり、仕事上の不運が重なったりしたときには、異動によってまさに心機一転、頑張ることも可能であった。
普通の私立学校の場合は、そこら辺が全然違う。異動の機会はほぼなく(横浜隼人の場合は、同じ学校法人の中に系列校が複数あるので、一般企業ほど多くはないものの異動の機会はある)、今回定年退職した教員も30年ぐらい同じ職場に勤めたのだった。先ほどの僕の前職との比較で言えば、“心機一転する”こともほとんどない中で、人間関係も苦労したであろうことは想像に難くない。僕からすると、ホントに気の遠くなるような話であり、よくもここまでお勤めになったものだと、敬服の念しか湧かない。
送別会で、感極まって涙する退職者の話を聞きながら、僕はあることに気がついた。退職者たちは皆、多かれ少なかれ、自分の関わった生徒たちとの忘れがたい思い出について語っているのであった。なるほど、そういうことか!職場の人間関係は変わらないけれど、生徒は毎年入れ替わる。実は、毎年大きな変化が訪れるのが学校なのであった!先日の卒業式の後に、生徒から様々な感謝の言葉をかけられた3年生の担任が「これだから教員はやめられない…」と言っていたのを思い出した。
残念ながら立場上生徒と接することが多くない僕は、これからも他の教員のように生徒と深く関わることはないと思う。僕がやるべきことは、この学校がいつまでもそんな感動を呼ぶ、そして生徒にとっても教員にとってもそれぞれの人生の大きな思い出の一つとなるような場にすることなのだと、気持ちを新たにしたのであった。